イジメでトラウマなおすすめアニメランキング 4

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早速見ていきましょう!

73.0 1 イジメでトラウマなアニメランキング1位
かがみの孤城(アニメ映画)

2022年12月23日
★★★★☆ 3.7 (122)
385人が棚に入れました
学校での居場所をなくし部屋に閉じこもっていた中学生・こころ。

ある日突然部屋の鏡が光り出し、

吸い込まれるように中に入ると、そこにはおとぎ話に出てくるようなお城と見ず知らずの中学生6人が。

さらに「オオカミさま」と呼ばれる狼のお面をかぶった女の子が現れ、

「城に隠された鍵を見つければ、どんな願いでも叶えてやろう」と告げる。

期限は約1年間。

戸惑いつつも鍵を探しながら共に過ごすうち、7人には一つの共通点があることがわかる。

互いの抱える事情が少しずつ明らかになり、次第に心を通わせていくこころたち。

そしてお城が7人にとって特別な居場所に変わり始めた頃、ある出来事が彼らを襲う――――

果たして鍵は見つかるのか?なぜこの7人が集められたのか?

それぞれが胸に秘めた〈人に言えない願い〉とは?

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

虐めは学校だけではない。社会に出たってついてくる

この映画は虐(いじ)めの問題を描いています。
本屋大賞に選ばれたので原作は大変すばらしいのでしょう。
但し2時間という映画の枠で原作の魅力を十分に描ききれてはいないように感じました。

虐めはよくありません。
ただこの映画では、虐められる苦しみは結構描かれていましたが、
虐めを克服しようと地道に努力する姿があまり見れませんでした。

仮にあなたが虐められているとして、
あなたを守ってくれる親や学校の先生は、24時間365日あなたを守れるわけではありません。
最終的に、虐めを克服するか、虐める人に従順になるか、全く別の世界に行くか しかありません。
全く別の世界に行ったとしても、別の人があなたを虐めるかもしれません。

虐めは学校だけではなく、社会に出たってついてきます。
ロシアがウクライナへ侵攻するのも、虐めの一つです。
だからゼレンスキー大統領みたいに、たとえ相手がどんなに強くとも屈服しないという強い意志を持つ必要があります。

虐めにあっている人は、毎日走ることをしてみてはいかがでしょうか?
最初は100mでかまいません、少しずつ少しずつ距離を伸ばしていき
2Kmを毎日走れるようになったとき、あなたの心は以前よりも強く逞しくなっているはずです。
運動が苦手な人は漢検でも英検でもなんでも良いので、毎日努力して、特技を身につけてください。

一朝一夕に虐めは克服できません。昨日の自分に負けないでください。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 25
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

大人はわかってくれない。

むかし、絶対音感のあるアメリカのジャズメンと飲んでいて、
  ワタシ、日本のブンカは尊重してるんですが、
  カラオケにはまず行きません。
  音酔いというか、
  機械のオンテイが不安定なので気持ち悪くなってしまうんですよ。
  いまは世界中どこにでもカラオケがあって困ったものです。
なんてグチっぽい話を聞かせてもらいました。

拙にはゼッタイオンカンなんて大層なものはなく、
そういうご苦労ははかりかねるのですが、
そいじゃま次は女の子のいる店にしましょうかと言うと、えらく喜んでいました。
(おかげで死ぬほど払わされましたが)

もちろんプロミュージシャンにもカラオケ好きはいますし、
そこんところは人それぞれかと。

ただ、むかしザ・バンドとボブ・ディランがセッションしてた時、
ディランのギターがあまりにも気に障るので、
アンプからプラグをロビー・ロバートソンが引っこ抜いた、
なんて話もありましたよね。
気になる方はやっぱどうしようもなく気になるようであります。

なんでこんなこと書いているかというと、
僕はオンガクに関してはけっこう許容できるんですが、
お芝居に関してはダメだからなのであります。

  ただ『それっぽく』演っているだけのお芝居
  ジブンだったらと考え『役ではなく自分』で演ってるお芝居
  気持ちばかり先行して『技術が追いついていない』お芝居

そういう『予選も通らない演劇部』レベルのお芝居って、
学園祭なんかだと微笑ましく見ていられるんですが、
商業作品になるとマジでダメで、ココロがささくれ立ってしまうんです。


で、本作『かがみの孤城』は、
辻村深月さんの同名小説を原作とした長編劇場アニメですね。
原作は未読なんですが脚本がかなりよく、
すぐれた脚本をつたない芝居でブチ壊している『よくある作品』のひとつです。
(少なくとも僕の耳にはそう聞こえます)

制作はみんな大好きA-1ピクチャーズ。
2022年12月の公開で、
興行収入10億円を突破していますから、
日本語でいうところの『スマッシュヒット』作にあたるのかしら。
{netabare}
  ちなみに『スマッシュヒット』というのが、
  いわゆる『そこそこのヒット』を意味するのはニッポンだけですね。
  英語の『smash hit』は『大ヒット』という意味になります。
  そこそこのヒットは『moderate hit』。
  いわゆる『マンション』と『mansion』の違いみたいなものであります。
{/netabare}
お話は、明確なメッセージ性のあるファンタジーかと。
さまざまな理由で不登校になっている(ひとり違うけど)7人の中学生が、
鏡の向こうにある孤城に集められ、
なんでも願いをかなえてくれる『願いの鍵』を探すという物語です。

少年少女たちは現実世界と鏡の世界をいったりきたりしながら、
ちょっとずつ、お互いに心を通わせていきます。
けっこうリアルで残酷なそれぞれの事情が少しずつ語られ、
無慈悲で理不尽な現実世界に対峙するための『心や勇気』みたいなものが、
そうした交流を通じて芽生えていく。
そんな感じの組み立てが大きな流れになっております。

そう書いてしまうとなにやらセッキョ-くさい作品っぽいですが、
エンタメらしいギミックがあちこちに施されており、
山あり谷ありで飽きさせないまま、ラストまで突っ走っていきます。

  丸尾みほさんによる脚本は、
  原作の良さ(しつこいですが未読です)もあるのだろうけれど、
  秀逸そのもの。

  不登校になった原因の『いじめ』の書き方もそうなのですが、
  そのことによってトラウマを植えつけられてしまった少年少女たちの、
   ・正論を絵空事にしか感じられなくなっている心の歪み
   ・自責・他責にすっぱり線を引けない未成熟さ
   ・自己憐憫と自己批判が渦巻き、極端に狭くなっている視野
  みたいなものが飾らない言葉で切々と描かれています。

  そこがきちんと描けているからこそ、
  彼らの抱えている問題が
    こういうファンタジーが存在しないと解決できなかった
  ということに得心できるわけでありまして。
  (もちろんそれ自体が
   いまの社会に対する強烈なメッセージになっております)

このあたり、さすが辻村深月さんがOK出した脚本だなあ、と。
ほんとこの方から承認とるのは大変なんですが、
それは本筋と外れてくるのでネタバレで。
{netabare}

辻村さんって、NHKから損害賠償の提訴をされたことがあるんですよね。

ことの経緯はこうです。
彼女の『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』という長編をドラマ化しようという話になり、
講談社がNHKに対して2011年11月、制作許諾をしました。
ところが、あがってきた脚本に辻村さんからNGが出ちゃったんですよね。
修正協議を繰り返したのですが、
NHKの『部分修正』案と辻村さんが望む『抜本的な検討』が折り合わず、
ついに2012年2月、撮影開始直前に許諾を取り消すことになったのです。

撮影直前ということでNHKは、
役者の手配はもとより美術制作まで終わっちゃっていたわけで、
キャンセル料だの実費だので大損がでました。
で「いくらなんでもきついっスよ」ということで、
NHKが損害賠償請求をしたわけです。その額、なんと約5980万円。

結論は辻村さん(講談社)側の勝訴。
というか、東京地裁でNHKの訴えが棄却されました。

  これ、拙が何度か言ってる著作権のおハナシ、
  『映像化の許諾』と『お話に手を加えることの許諾』はべつのもの、
  ということの典型事例ですよね。
  いくら「映画化してもいいですよ」と言っていたとしても、
  脚本や映像に著作権者からの承認がおりなければ公開できないんです。

  そういうのって版権ビジネスのイロハの『イ』でありまして、
  はっきり言って、NHKの大チョンボかと。
  この損失補填はコクミンから徴収した視聴料で賄われております。
  
でもまあ、法的に担保されている権利とはいえ、
天下のNHK相手に作家ダマシイを貫き通した辻村さんがリッパかと。
なんせこのときは直木賞もとっておらず、
メフィスト賞と吉川の新人賞を取っていただけ、
文壇では『期待の若手作家のひとり』に過ぎなかったわけなんですもの。
(だから「押し切れる」とNHKも思ったんでしょうね)
{/netabare}

というわけで、この『かがみの孤城』は辻村さんのお墨付き、
ふつうに作っていたらたぶん『名作』になっていた作品だと思います。

ところが、ぜんぜん『ふつう』に作ってないんです。
キャスティングがめっちゃくちゃ。
学芸会とまではいいませんが、そのへんの市民劇団レベルではあるまいかと。

実はこの原作、先にオーディオブックが発売されているんですが、
そこからのキャラ替えがハンパありません。
メインどころでいうと、以下みたいな感じですね。
(『声優』という言葉好きくないんですが、あえて使ってます)

 こころ 元:花守ゆみりさん 声優歴9年。主演アニメ30本以上。
        ↓
     當真あみさん。女優。
     (16歳。演劇経験なし。金ドラでちょい出演しただけ)

 アキ  元:伊藤かな恵さん 声優歴16年。主演アニメ30本以上。
        ↓
     吉柳咲良さん。女優。
     (18歳。子役出身。アニメは『天気の子』ヒロインの弟役だけ)

 スバル 元:西山宏太朗さん 声優歴10年。主演アニメ20本以上。
        ↓
     板垣李光人さん。
     (20歳。俳優・モデル。子役出身。アニメ・吹替経験なし)

 マサムネ 元:小林裕介さん 声優歴9年。主演アニメ40本以上。
        ↓
     ◎高山みなみさん。
     (59歳。いわずもがな、アニメ界の大御所)

 フウカ 元:大和田仁美さん 声優歴9年。主演アニメ10本以上。
        ↓
     横溝菜帆さん。
     (14歳。女優・モデル。子役出身。アニメ経験3本)

 リオン 元:島﨑信長さん 声優歴13年。主演アニメ60本以上。
        ↓
     北村匠海さん。
     (25歳。俳優・歌手・モデル。子役出身。ドラマ出演多数。アニメ経験3本)

 ウレシノ 元:堀江瞬さん 声優歴7年。主演アニメ20本以上。
        ↓
     ◎梶裕貴さん。
     (37歳。声優歴16年。主演アニメ90本以上)

 オオカミ 元:東山奈央さん 声優歴12年。主演アニメ60本以上。
        ↓
     芦田愛菜さん。
     (18歳。女優・歌手。子役出身。ドラマ出演多数。アニメ・吹替経験そこそこ)

 東条萌元:千本木彩花さん 声優歴9年。主演アニメ20本以上。
        ↓
     池端杏慈さん。
     (15歳。モデル。演劇経験なし。テレビドラマに一回出ただけ)


高山みなみさん、梶裕貴さんというスゲー方もまじってますが、
基本的には『経験豊富なプロフェッショナル』から、
10代中心で経験値の乏しいキャスティングへと変更されてるんですね。

もちろん『若いから』『経験がないから』ダメというわけではありません。

瀬戸麻沙美さんが『ちはやふる』を演ったのは高校生のときですし、
楠木ともりさんが『GGO』演ったのも18歳。
天才・沢城みゆきさんに至っては、
14歳・演劇経験ほぼゼロで新人オ-ディションに登場し、
僕の知り合いの音監が「いまだに当時のテープを聴いたら鳥肌が立つ」
というぐらい、全ての年代を完璧に演じわけてみせました。

ましてやほとんどのキャストさんが『子役出身』ということで、
花澤香菜さんや悠木碧さんを連想する方も多いかと。

  ただ、子役や舞台・実写演劇に求められる表現技術スキルと
  アフレコのそれは『似てるようでチガウ』んですよね。
  バスケットボールとハンドボールぐらい違う。
  球技大会ぐらいなら無双できても、
  インタ-ハイレベルになるとごまかせなくなっちゃうんです。
  (ここんとこ、一番うしろで『オマケ解説』しておきます)

  そこをアジャストするには、
  やっぱり『相当真剣な練習』をするしかありません。
  基礎があるので習熟は早いですが、
  そこんところもやっぱり人それぞれ違いが出てきます。

  舞台・実写俳優さんで『アジャストするのがうまい』方はおられます。
  アフレコ専業役者さんに遜色ないぐらい仕上げちゃう。
  そういう『おそろしく耳・アタマ・心がまえがいい』方ってほんと尊敬いたします。

で、本作の演技品質の話に戻りますが、
正直言って『学生さんが演劇部に頼んでアフレコした自主制作アニメ』
ぐらいの評価が妥当なところかと思います。

決して棒読みではなく、
それなりに『痛みやつらみ』的なものも伝わってきますから、
あの『竜とそばかすの姫』よりは数段マシです。

オンガクで言うなら『カラオケ上手さんの歌』ぐらいのレベルでして、
こだわりのない方ならば、
  いちいち目くじら立てなくてもよくなくない?
ぐらいに聴こえると思うんですよね。

  ただ……拙にはちょっとキビしかったです。
  元の役者さんが演っていたらどういうお芝居・音源になるのか、
  おおむねイメージできちゃうんですよね。

    そこ違う。もっとはって、背中まで鳴るように大きく。
    いまのセリフ、語尾はもっと消え入るように。
    長いセリフは『立てる』言葉、もっとはっきりメリハリつけて。

  なんてことを視聴中ずっと考えてしまっていて、
  モノガタリに集中しきれなく。
  ああ、脚本がすごくいいのにスゲーもったいない、
  大御所に「真実はいつも一つ」なんて言わせてる場合じゃね~だろこら、
  なんてぷんすか怒りながら視聴していました。

  なんでこんなキャスティングするかなあ。
  オトナってやだわ。


作品としてのおすすめ度は、それでもB+。
声優と音楽、いわゆる『音響系』の評価がひくいので平均点が3.4なんですが、
見る価値のある映画ではあるまいかと。

見る角度や足の置き場によって感じ方が変わってくる作品なんですが、
脚本にしっかりした背骨がとおっているので、
どんな方でもココロに石を投げ込まれるような気持ちになると思います。

  もちろん『いじめ』だの『大人の無理解』だのに、
  明確な解決策なんかあるはずがありません。

  あるはずがないからこそ、
  たまにこういう作品を見ることによって、
  一人一人が一歩ずつでも足を前にはこぶことがダイジなんじゃないかな。

  そんなことを拙は拙なりに愚考いたしました次第です(←日本語おかしい)。


映像は、まあ、きれいかなぐらい。
A-1ピクチャーズだからといって何でもかんでもスゲーわけではありません。
カット割りやアングルは、けっこう実写よりですね。
いいカットは間違いなくいいんだけれど、
クライマックス、言っちゃ悪いけれど、演出がふるくさいかもです。


音楽は、劇伴うるさいです。
かと思えは無伴のシ-ンもけっこうあって、バランス悪すぎ。
ちなみに、
エンディングのクレジットにすら音響監督が明記されてないんだけど、
キャスティング改悪の件といい、なんかあったのかしら?

  あと、エンディング主題歌、狙い過ぎて逆にあざといかも。
  しっかりしろ、アニプレ。


というわけで、音響系はアイタタなんですが、
何度も言うように物語・脚本がすごくよく練られているので、
作品としての価値はけっこうあるんじゃないかと愚考いたします。

ラスト、人によっては『予定調和』みたく感じるかもですが、
すでに述べたように『ファンタジー』だからこそ、
それなりの調和にもちこめたんですよね。

  じゃあ、このファンタジーがなかったら彼らはどうなっていたのか、
  それこそがこの作品のウラ主題みたいなものでありまして、
  政府だのキョーイク機関だのに押しつけてシャンシャンなテ-マじゃないわけであります。

ただまあ、アニメに『いやし』や『もえ』を求める方には不向きな作品ですし、
人によっては虎馬えぐられるかもです。
ココロに余裕があるときに、チャレンジしてみておくんなまし。

  なお、拙と同じくキャスティングにモンダイを感じる方には、
  オーディオブックという選択肢もございます。
  ただ……全部で19時間越えちゃってるんですよね、マジで。

  拙は時間もおカネも集中力もないので、
  すっごく興味あるんですが、サンプルのみ試聴しております。
  評判そのものはイイので、よろしかったら、ぜひど~ぞ♪


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ここからは純然たる『オマケ』です。

拙がおのれを顧みずエラそうに言っている
  『実写』『舞台』『アフレコ』
のお芝居は、具体的にどう違うのか、というおハナシですね。

本編にはほとんど関係ないので、
いつもどおりまるっとネタバレで隠しておきます。
ご興味のある方だけ、どうぞ。
(はっきり言って、スゲー『長い』です。心して読んでね♪)
{netabare}

[設定]
男子Aと女子Bは、文芸部に所属する高校二年生。
わりとなんでも言い合える仲だけれど、付き合ってはいない。
男子Aは草食系、女子Bはやや勝ち気ではっきりモノをいうタイプ。

部活の買い出しで制服のまま商店街にいってベンチで休んでいたとき、
まえを横切った女子大生風のふたりが以下のような会話をしているのが耳に入った。
 「あたし、またムネおおきくなっちゃってさ~。Cだときっついんだよね」
 「わかる~。あたしもこないだDにしたし」
それを聞いて、なにげなく女子Bの胸元に目をやる男子A。
その視線に気づいた女子Bが次のセリフを言う。

「そうよ、Aカップよ。笑えば? あたしが代わりに笑ってあげようか?
 あは、あはあはあは」

[解説]
このセリフ、特に難しいお芝居ではありませんが、
ウケをとるためには『実写』『舞台』『アフレコ』それぞれで、
ハイリョすべきポイントが変わってきます。

まず『実写』ですが、
これは(たいてい)カメラがバストアップ以上に寄ってくるので、
おおむね『顔芸』がダイジになってきます。

  露骨にいかりを顔に出して目をむくのか、
  いわゆる『ジト目』で、冷ややかに言い放つのか、
  自虐・やけくそ気味に、視線を外し正面を向いて言うのか。

セリフそのものは、自分が選んだ芝居に合致していればよし、です。
感情が自然と言葉に乗るので、
発声自体に特別な技術をほどこす必要はキホン的にありません。
(感情の乗っていない『口だけ芝居』は論外です)


次に『舞台』ですが、
これは観客との距離が遠くて細かな『顔芸』が伝わりにくいため、
カラダ全体を使って感情を表現する必要があります。
いくつかパターンをご紹介いたしますと、

  ・自分の胸に手を当てる(役者によっては立ち上がる)。
  ・セリフのまえに、ドン、と足を踏み鳴らす。
  ・「あは、あはあはあは」に合わせて肩や首をリズミカルに動かす。
  ・笑い終わったあと、ストップモーションみたく相手をにらみつける。

こういうお芝居って、
実写で演ると『オ-バ-アクション』に見えることが多いですよね。
セリフの発声には『いきおい』がダイジになってきます。
早口にならないようテンポに気をつけがら、大きく、元気よく、そして強く。
(*同じ発声を実写で演ると『うるさい』です)


最後に『アフレコ』ですが、
これは役者が顔やカラダで関与できる余地がないため、
言葉の立て方や発声に細心の注意をはらいます。

  コトバの立て方というのは、以下のような感じですね。
   「『そうよ』、Aカップよ。笑えば?」
   「そうよ、『Aカップ』よ。笑えば?」
   「そうよ、Aカップよ。『笑えば?』」
  これ、どこにセリフの『山』をもってくるかで印象がガラっと変わります。
  最初のは『ふつう』、二番目は『コミカル』、最後のは『ケンカ腰』。

  続く「あたしが代わりに笑ってあげようか?」でも、
    さいごの「か」の『a音』をはっきりと発声するかしないか、
    語尾を『スパッときる』のか『尻をあげる』のか、
    全体を『フラットにいう』のか『嚙んで含めるように』いうのか、
  そんなところで耳に届く印象がガラリと変わってきます。

  そして最後の「あは、あはあはあは」が個性の出しどころです。
    a.発声練習みたく、腹筋だけで、何の感情もこめない。
    b.「あは、アハあはAHA」みたく『音をバラけさせる』。
    c.最初かわいく、だんだん怒気をふくめる。
  もちろん『発声のスピード』によっても印象が変わりますし、
  役者さんによっては、
  最初の「あは」に小さな「っ」をつけ、間を多くとったりもします。
  
    動画などで役者(声優)さんの台本が映されたとき、
    独自のマークなどが色ペンなどでびっしり書き込まれている、
    というのを見たことがある方がおられると思います。
    それは、そういう自分で考えた指示(実際はもっと細かい)を、
    楽譜みたいに書き込んでいるからなんです。


総じて『役を読み解き、気持ちをつくる』というまでのプロセスは、
実写も舞台もアフレコも、大きく違いません。
ただ『作った気持ちを表現する』ときの力点が違うんですよね。

じゃあ、アフレコ役者さんの芝居が一番いいのか、というと、
それは一概に言えません。
アフレコ役者さんのお芝居をそのまんま実写にあてはめてしまうと、
どこかしら『作った』感じになっちゃうんですよね。
舞台のお芝居を実写でやるみたく『オ-バ-アクト』に聴こえてしまうんです。

  それってやっぱり『視覚効果』の問題なんですよね。

  舞台では、すでに述べたように、
  リアルではありえないような『大きな動きや声』の方が、しっくりきます。
  生身の人間が演じていますから、
  まあ『リアル』っちゃリアルなんですが、
  視覚・聴覚的には『セミリアル』なお芝居が求められることになるんです。
  (逆に、舞台で実写ふうにやると『芝居が小さい』と怒られます)

  これに対し、アニメは視覚的に『リアル』なものじゃないんですよね。

    顔の四分の一とか三分の一が目なんて人間はいませんし、
    ピンクとか緑色の髪の毛なんて、コスプレ以外の何なんだというハナシです。
    背景が闇になったりカミナリが走ったりするエフェクトも独自のもの。
    キャラの顔に斜線入ったり、いきなりポンチ画になったり、
    とにかく『アニメ独自の表現手法』というものがカクリツしているんです。

  そういう『非リアルな映像』だからこそ、
  アフレコ役者さん独特のお芝居が生きるというのがあります。
  ディ〇ニーランドの中を歩いていると、
  おなかの出たおじさんが大きなミミつけて歩いてても違和感ないですよね。
  あれ、区役所のカウンターに座ってたらタイヘンじゃないですか。


それじゃあ、アニメの演出やキャラデを限りなく実写に寄せたらどうなの、
というと、やっぱり『大丈夫』じゃないんですよね。
なぜかというと、
多くの人は『視覚体験』と『聴覚体験』がアタマの中で結びついている、
いわば『パブロフのわんこ』みたいな状態にあるからです。

  たとえば、グランドピアノそっくりのシンセサイザーを作ったとして、
  それでパイプオルガンの音色で演奏したら、
  見ていてめっちゃ違和感を覚える人が少なくないと思うんです。

  それって『グランドピアノ』という視覚から想起される音色が、
  体験的にアタマの中にインプットされているからなんですよね。

  同じように『実写』でアニメ声・お芝居というのも、
  または『アニメ』で実写の声・お芝居というのも、
  視覚と聴覚のギャップに違和感を覚えてしまう現象が生じてしまうんです。


つまるところ結論としては、
実写・舞台・アニメそれぞれ『求められるお芝居』が違っているため、
そこにアジャストしていく必要がある、ということになります。

もちろん作品によってその『求められ方』は違いますし、
実写の『演出』として舞台風・アニメ風のお芝居を取り入れることもあります。
僕が述べていることは、あくまでも『原則・基本論』にすぎません。

ですが『セイユウの芝居は作った感じがする』なんていって、
アニメに実写系の俳優を起用するぐらいなら、
最初っから実写で撮れよ、というおハナシにはなると思います。
視覚情報がコンポン的に違うんだもの。


  テレビ俳優さんも舞台俳優さんもアテレコ役者さんも、
  みんなお芝居の『プロ』に違いありません。
  それぞれが、それぞれのフィールドで、
  視聴・観劇者に『届ける・伝える』ためのお芝居というものを、
  日々、身を削るような精進を繰り返して追及しています。

  まず、そこにリスペクトがないと、おハナシになりません。

  少なくとも『話題作り・マーケティングのため』などと称して、
    Jリーグの選手をプロ野球の公式戦に出したり、
    アイドル歌手をまともなオペラの舞台に上げたり、
    小説家に連載マンガ描かせたり、
  そんなおバカなこと、ふつうはしないじゃないですか。

  それを『鉄火場』であるべき制作現場で実際にやっている、
  バラエティやスポットじゃなく主演級にキャスティングしてるのって、
  ほんとアニメだけなんですよね。


  こういうのって『いじめ』と同じようなもので、
  正論はなんぼでも言えるんですが、
  すべてが丸く収まる解決策なんてファンタジーでしかありえません。

    キホン『大人はわかってくれない』ので、
    いっぽいっぽ、
    地道に声をあげていくしかないんですよね。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 24
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

彼女が願ったもの

ある出来事から学校に行けなくなった中1のこころ。
ある日部屋の鏡が光り、その向こうにお城とオオカミの面をつけた不思議な少女がいて・・で始まる物語。

原作は辻村深月さんの小説で、2018年の本屋大賞も受賞しているみたいですが未読です。
ちなみにコミカライズ版も全5巻で発刊されているみたいです。

お城にはこころの他にも同じように鏡から来た中学生が6人。
オオカミ様は7人に城に隠されている鍵を見つけられた人は願いが叶うと話します。

こころにとって鏡の城で友達とも仲間とも言える子たちと過ごした時間は、{netabare}鍵を探して自分の願いを叶えてもらうよりももっと{/netabare}大事なものをもらえたのかなって思います。

そして3月。
{netabare}鍵の部屋で彼女が見たもの、そして願ったことは・・{/netabare}

アキが{netabare}喜多嶋先生だったのは驚きましたけど、考えてみるとストロベリーティー好きだったりと色々伏線ありましたね。
アキも同じような経験をして悩んだからこそ、あんないい先生になれたんですよね。{/netabare}

みんなの別れのシーンも、{netabare}それぞれ記憶がなくなってしまうことを考えたら、{/netabare}せつない気持ちに。。

あの孤城での一年は、{netabare}病気で中学に通えず、亡くなってしまったミオの願いが起こした奇跡だったのかなと思いました。
彼女と同じような、学校に行きたくても行けない子たちを自分の城に招いてその子たちに思いを託したのかなって。
なぜ7人だったのかは昔病室で弟に読んで聞かせた童話からなんですね。{/netabare}

{netabare}病室で{/netabare}おもちゃのオルゴールから流れるトロイメライを聞いてたらちょっと泣いちゃいました。

そして、ラスト。
{netabare}こころが冒頭で願ったことも、リオンとの再会で叶いましたよね。
こころはリオンのことを覚えていないかもしれないけど・・{/netabare}

エンドロールを眺めながら、あの子たちはあの後どうなったんだろう・・ってぼーっと考えちゃいました。

みなさんの評価が高いだけあって、かなり良かったしおすすめしたい作品です☆

投稿 : 2024/11/09
♥ : 24

88.4 2 イジメでトラウマなアニメランキング2位
聲の形(アニメ映画)

2016年9月17日
★★★★★ 4.1 (1520)
7486人が棚に入れました
聲の形」は、聴覚の障害を持つ少女・西宮硝子と、彼女へのいじめに加担していた過去を持つ少年・石田将也の物語で、2人の衝突や再会を通して、孤独や絶望、愛などが描かれている。

声優・キャラクター
入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希、石川由依、潘めぐみ、豊永利行、松岡茉優
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

障がい、いじめ、生と死、そして母の愛

原作未読。
劇場でも視聴しましたが、いろいろと考えさせられることの多い作品だったため、繰り返し視聴してからレビューしたいと思い、BD購入後のこのタイミングでレビューします。

【初めに】
この作品は多くの方に見て欲しい作品です。
高校生の恋愛物語なんかじゃありません。
障がい、いじめ、生と死、母の愛・・・。重いテーマを次々と投げかけてくる作品です。
そして、見終わった後、色々と考えさせられる作品です。

様々な思いの中で、少しずつ成長していく石田将也、西宮硝子、西宮結絃、そして植野直花が見どころです。

【物語】
これだけ重いテーマをよくも2時間の枠に収めたな!と感心するくらい良くできていると思います。
時間の都合上、少々強引な展開もありましたが、それをマイナス要素とするのは酷でしょう。

【作画】
京アニですからね、全く問題無いでしょう!(笑)
特に花火のシーンは鳥肌ものでした。

【声優】
なんといっても早見沙織さんでしょう。
硝子が言葉を発する度に鳥肌が立つほどの怪演。
{netabare}小学生のころ、将也と取っ組み合いの喧嘩をした硝子が発した言葉が、最初に劇場で視聴した時には理解できませんでした。
BDで繰り返し視聴をして、『頑張って!』と聞こえた時には感動しました。{/netabare}

将也の少年時代を演じた松岡茉優さんに賛否があるようですが、私はとても良かったと思いました。

【音楽】
THE WHOの「MY GENERATION」は良かった。
aikoの主題歌は好みが分かれるかも・・・。

【キャラ】
「植野直花」
一見、理に適っているようなことを言ってはいるが、実は一番自分勝手・・・に見えるキャラ。
高校生になった硝子の立場から見れば一番の敵キャラだし、『嫌い』って人が多いだろうな?
実は私もそうだったし・・・。
それだけに、最後の{netabare}手話{/netabare}には感動した。
良かった。ちゃんと成長してるじゃん!

「将也の母」
私の印象は、子供には甘いけど、責任感の強い母親。
{netabare}硝子いじめの謝罪の際、片耳から流血しながら、声も荒げずに「明日からいい子にするんだよ、ね」は衝撃的だった。
硝子の母と植野の喧嘩を止めたシーンも良かった。{/netabare}

「硝子の母」
私の印象は、子供に厳しく、だけど誰よりも子供を愛する母親。
{netabare}重度の聴覚障害のある硝子を普通学級に通わせるとか、小学生には酷なんじゃないかと思った。
しかし、硝子は聴覚に障害があるだけで、知能に障害がある訳ではない。
愛娘の将来の事を考え抜いて出した、苦渋の決断だったんだと思った。

それは、後半のシーンからもうかがえる。
高校生になった将也が硝子を一緒にいるところを見かけると問答用無用にビンタ。
そして、硝子を責める植野にも問答用無用にビンタ。
愛娘を守るためには手段を選ばずに全力で立ち向かっていく母親の姿だと思った。{/netabare}

【最後に】
極力ネタバレ無しでと思っていたんですけど、結局ネタバレだらけになってしまいました。スミマセン。
ネタバレついでに、最後に少しだけ付け加えたいと思います。

{netabare}この作品を視聴して、本当に色々なことを考えさせられました。

【障がいを持つ人とどう接するのが正解なのか?】
本作の硝子のように聴覚障害を持つ人との接し方。
将也や佐原のように手話を覚える?
  それができれば一番いいんだろうけど・・・。
  現実には、手話を知らない人が多いんじゃないかな?
  もちろん私もその一人。
「大きな声でゆっくり話せば分かるんだから」と言った植野。
  これも決して間違いではないと思っている自分がいる。

大事なことは相手の立場に立つことだと思う。
ただ、優しく接すればいいというわけでもないのだと思う。

【これって「いじめ」ですか?】
いじめがダメなんてことは、誰しも理解していることだと思う。
だけど、どうだろう?
『私の職場(学校)ではいじめなんてありません!」
そう断言できる人は少なくないと思う。だけど、
『誰かを無視したり、悪口言ったりとかありません!』 
そう断言できる人がどれだけいるだろう?
悪口・陰口くらいなら、恐らく多くの人が身に覚えがあるのでは?
『悪口・陰口くらい誰でもやってるよね?このくらいなら”いじめ”じゃないよ』

それではなぜ、佐原は不登校になったのだろう?

【母親の愛ってすごい】
将也の母、硝子の母。
タイプは全く違うけど、子供に対する愛情と責任感の強さは計り知れない。
謝罪のためにピアスを引きちぎった将也の母親。
同じく謝罪のために、公衆の面前で土下座をした硝子の母親。
どちらも本当に立派だと思った。

そして、何より、自分の身の回りの人に同じようなことをさせてはならないと思った。{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 141
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

美しい人

60年代のロックアンセム、
THE WHOの「MY GENERATION」が、
オープニングを告げる。

小学校時代回想。
退屈な毎日を単なる好奇心や面白半分で、
耳の聞こえない少女を虐める主人公。
あまりにも度がすぎて学級裁判となり、
自分がクラスから断罪され孤立する。
{netabare}保身の為、主人公を売るクラスメイトたち。
罪人の烙印、どこにでもある無自覚な悪意。
正当化される弱さ、悪意の同調圧力。{/netabare}
ヒロイン硝子の心は何度死んだのだろうか。

心を掴まれたシーンがあります。
それは硝子が持つ筆談ノートでの何気ない日常。
{netabare}そのノートに言葉を綴り、必死に周りと、
コミュニケートしようとするその少女の姿に。
拒絶され、からかわれても、
けなげに笑おうとする少女の姿に心が震える。{/netabare}

高校生現在、再会。
償うこと、許すこと。
{netabare}自分のせいでバラバラに、
壊れてしまったものと向き合う硝子。
自己嫌悪と後悔の狭間で揺れ、
他人から目を伏せて生きる主人公。{/netabare}
これは現代の罪と罰なのか。

犯した罪はいつ許されるのでしょうか。
そもそも許されるものなのでしょうか。
どうか幸せになって下さい。

心の美しい人になりたい。

今はただそう願います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 116
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

硝子の少年時代の破片が胸へと突き刺さったまま成長した高校生のお話

原作未読

アニメ映画豊作の2016年。TOP3『君の名は。』『この世界の片隅に』『聾の形』唯一劇場で視聴しなかった作品。他意は無いです。アニメにそれほど関心がなく当時は、映画をやってたことも京アニという会社も当然山田尚子監督も、それどころか早見沙織・悠木碧・入野自由とかまーったく知らない私、一般人。

そちらはさておき、正直なところ一回目の視聴ではぐさりとくることはなく、すこし経ってなぜかまた観たくなり徐々にハマった作品。

1.主人公を中心として、なんとなく違和感を感じるキャラ設定
2.なんとなく物語の進行に違和感を感じる

この違和感ってなんだろう? 私、気になります!

主人公石田将也、ヒロイン西宮硝子を中心に主要キャラの多くがアニメ的に記号化されたキャラ設定にちょっとずらしが加わっております。
将也も硝子もあとは小学校時代の担任と永束あたりはわかりやすい感じでコミュニケーションの取り方に難がある人達です。また、植野・佐原・川井・島田も普通そうに見えてコミュニケーションの取り方で今一歩しっくりこない、きっとこう反応するだろうという予想とはちょっとずれのある言動をします。そもそも主人公二人の自己肯定感のなさは救い難いほどです。

要は気持ちよくないんですね。けなしてるわけではありません。前向きな意思みたいなのが汲み取りづらいのと、表に出てくる負のオーラ。
前向きじゃないと視聴者はストレスを感じるだろうし、言動行動に納得感がないと「ありえねー」とそりゃなるわけです。
ただしよくよく見ると、登場人物の思っていることはきちんとわかる作りになっていて、一見整合性の取れない行動のようでも根拠は必ず見つかります。
{netabare}
例えばこんなとこでしょうか。
・なんで自殺しようとする奴が死ぬ前にいじめた子のとこに行くの?
・なんで硝子死のうとするの?
・いじめた相手を好きになるとかありえん
{/netabare}


巡り巡ってこれって現実と一緒じゃん、という結論になりました。
ただ単にアニメ的テンプレキャラでないだけ。(硝子が美少女だってところはアニメ的ではありますがね)

登場人物に対しては「拒否感」しか抱かない方もいるでしょう。
その反対で、現実の自分や知人に重ね「共感」を覚えるかもしれません。
すーっと入って感動できるか、ただただ胸糞悪くなるか。
取扱うテーマが重いこともあり、娯楽作品としてはだいぶ博打だったと思います。
俗に言う『観る人を選ぶ作品』の範疇に入りそうですが、そもそも劇場版でそれを実践した勇気に拍手を送りたいものです。京都アニメーションという会社も、体力のある会社ということなのでしょう。

その京アニの稼ぎ頭、山田尚子監督の他の作品『たまこラブストーリー』『リズと青い鳥』を観て思ったのですが、作家性が高く、登場人物の心情描写においてはセリフ外の暗喩表現に秀でている監督だという印象を持ちました。
本作でもその作家性はいかんなく発揮されております。そしてその暗喩表現の多い作風がコミュニケーションを扱った作品のテーマと相性が良く、ヒットに繋がったものと考えられます。


キャラ、その他に関する前置きが長くなりました。物語にも触れときます。


冒頭からの陰鬱な展開とは対照的に空や川、背景はため息が出るほど綺麗でした。早見さん・悠木さん・入野さんは難しい役どころをしっかり理解されたうえでの好演たっだと思います。牛尾憲輔さんの劇半は作品世界にめちゃくちゃ合っておりました。

先天性の聴覚障害を持った少女と健常者たちとのコミュニケーションロス。これが主題かと思いきや、同じくらい健常者同士のコミュニケーションロスも描かれてます。
伝える手段としての言葉。「言葉に出して言ってくんないとわかんなーい」実はそうでもありません。普段私たちがとるコミュニケーションの70%は表情・しぐさなどの非言語が占めております。雰囲気でわかる、空気を読む、拳で語り合う、想いは全部ピアノに込めたんだから(これは違うかもw)、といったところが例で、各々思い当たる節があるのではないでしょうか。
言語はもともと非言語で得た情報を明確化するくらいの価値しかなかったものが、ご存じの通り残りの30%が極めて重要な世の中、それが現代社会です。
その言葉でさえも、例えば短文のSNSでこちらも向こうも意図が誤解無く伝わっているかと言ったらそうではありません。
そのような確かなものと思われている反面あやふやでもある「言葉」「声」のうち、『声』を失った少女を媒介にして、想いを伝えること伝わらないこととは何ぞや、を提起した良作です。

普段の王道的な、悪く言えば予定調和的なものから一歩外れた位置にあるからこその作品の価値であり、未視聴の方はぜひ目を通していただきたいと思ってます。テーマも含めあとは好き好きなので合わない時は合わないっす。

そして随所に見られる「セリフで表現されてない描写」を感じてみたいところです。
{netabare}
一例だけ挙げます。
■小学生時代。将也と硝子の取っ組み合い
意外と硝子が激しい感情を持ち合せた子だなと驚いたのと同時に、普段は押し殺していた、押し殺さざるを得なかったこれまでの人生を想像し胸が痛みました。
初見ではわかんなかったのが、硝子の声にならない声。「私だって頑張ってる」的なことを言ってるのだと繰り返し聴くとわかってきます。早見さんすごい。
硝子にとって後にも先にも家族以外で感情をぶつけ合ったのは将也だけだったかどうかは作品内では描かれてませんが、将也とのぶつかり合いは貴重な思い出だったと思われ、高校での再会後の硝子の行動に繋がっていきます。
{/netabare}



以下、オマケ
■川井と僕らは一緒だよ
{netabare}作品中屈指のdisられキャラの川井嬢です。徹底した傍観者タイプ。
ただ彼女って自分たちが向かい合いたくない負の部分をよく表した鏡みたいなキャラだと思うんです。
こんな話があります。
耳の聞こえない母を10年以上介護した経験のある近しい親族がいる身としては、通常の介護以上に耳が聞こえず意思疎通が取りづらい環境ではそうとう憔悴します。ちなみに介護した親族以外の親族はほぼ関わってきませんでした。
当たり前のことですが、耳が聞こえない人とは普段自分らがしているような会話はできません。このストレスってけっこう馬鹿に出来ないんです。何をして欲しいかがわからない、これが一番きついのです。
普通だったら距離置きませんか?
作品ではずっぷり関わる結弦、なんとかしようとする佐原がいます。
硝子と関係のある当事者から見れば、関わってこないけど綺麗事並び立てる者がちらほら視界に入るポジションにいると邪魔でしかありません。じゃあ視界から消えてくれ!そんな役回りが川井が本作で担っているポジションです。うーん報われる要素が見当たらない ww
いじめたいじめないはひとまず置いといて、我が身かわいさに保身に走ってしまう人間の弱さみたいなものがよく表れたキャラです。
{/netabare}


■決定!!早見沙織の足パタパタTOP3!
どうでもいいので閉じてきます
{netabare}
「足パタパタ」とは作中の女性キャラにとってなんか嬉しい出来事が起こった時や照れてどうしようもない時などに、ベッドにうつ伏せになり時には枕を抱え、足をパタパタさせる仕草を指す。人前では見せない行為のため、実際やっているかは男子諸君にとっては永遠の謎である。なお、変態と思われる可能性があるため直接女性に聞く時は、自身のキャラと聞いてもいい相手かを見極めて質問するようにしましょう。〈以上、言語の解説〉

第一位 聾の形 西宮硝子
そもそもセリフ少ないので、こんなわかりやすい反応をされるとこちらがほっとする
第二位 宇宙よりも遠い場所 白石結月
たしか第三話あたり。そういうことしなさそうなのにそのギャップが良い
第三位 風夏 氷無小雪
何話か覚えてない。そういうことしそうなキャラだが良いものは良い
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 80

59.1 3 イジメでトラウマなアニメランキング3位
骸なる星 珠たる子 なるたる(TVアニメ動画)

2003年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (208)
870人が棚に入れました
『なるたる』は、鬼頭莫宏による漫画、及びそれを原作としたテレビアニメ。タイトルは「骸なる星、珠たる子(むくろなるほし、たまたるこ)」の意味。
【ストーリー】小学6年生の玉依シイナは小学校最後の夏休みに祖父母の住む島に行き、海でおぼれかけて、星の形をした変わった生き物『ホシ丸』に助けられ出会う。
ホシ丸は少年少女の意識とリンクし、変幻自在の能力を発揮する「竜の子」の一体であった。他の「竜の子」の持ち主(リンク者)との出会いのエピソードを挟みながら、シイナは「竜の子」を用いて世界をリセットしようとするリンク者たちの一派との戦いに巻き込まれて行く。

ミミック さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

え?え?、あれぇー?

結局何が言いたいアニメだったんでしょうね。
自分にはサッパリわからなかったです。

2期作るための戦略だとしたら仕方ないが張った
伏線がそのまま回収されず、後味がかなり悪いです。(要は原作読めということですね)

序盤からミステリアスないい流れを作り出して
結構のめり込んでいた自分が恥ずかしいです。


味がないけど噛み続ければ出そうなガムを噛み続けたけど
出ずに最終回を迎えてしまった感じです(笑)


*良かった所*
・なんか見続けてしまう魅力がある。
・ホシ丸が可愛い。

*不満だった所*
・1クール向きではないです。
・話がカット&飛躍しすぎで理解に苦しむ。
・上記2つの影響もあり話がペラッペラです。


以上読んでいただきありがとうございます。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 17

alpine さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

終わり方がやっつけすぎる・・・。

物語の評価は3ですが、部分的には4あげてもいいと思います。
(終わり方がちょっとあれなので、3としておきます。)
とりあえず、原作は悪くないんです!
と、原作の事書いてもアニメのレビューにはなりませんね…。

良い点は…さすが鬼頭莫宏先生(ぼくらの)の作品と言った所でしょうか。
アニメでの再現率はかなり良い方だと思います。

この作品の一番悪い点は、ものすごく中途半端に完結させてしまっている点
B級ホラー映画のように続かせる素振りをしておけばまだ良かったものの
最終話で伏線を回収せずに無理矢理完結させてしまっている所といったところでしょうか。

その辺りも相まって、ボロクソ叩かれたり
部分的に見た人が、そのシーンだけをクローズアップして変に貶めている傾向も強いです。
なので、その辺の事しか書いてない人のレビューは参考にしない方がいいでしょう。

私から見れば他の方がレビューしている程偏った内容の作品とは思いませんでした。
中途半端に終わる所以外、ほぼ原作に則った流れになっていますし
原作の方が残酷描写は多いですから。

ただ、アニメでも残酷描写はやはりあるので
見たい人は、それを了承の上見ていただければと思います。
あと、上記しましたが、中途半端に終わるので
そこも覚悟してください…。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 9

いぶちゃん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

二周してみた

なるたるは、最初その絵の可愛さと
OPのほのぼのした雰囲気で見始めました。
まんまとやられましたが。。。
だいぶ前に一周して、最近また一話から
十三話まで見直しました。

ほしまるはとても可愛い^^

イジメとか、闇(病み)とか、
途中心が痛くなるんですが
観てしまいますね。

ほしまるの秘密や、成長した主人公と
その背景の人々、
原作はもっとエゲツナイみたいですが
ちゃんと完結しているらしいので、
時間がある時に、原作もしっかりと
観たいと思います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 8

72.1 4 イジメでトラウマなアニメランキング4位
BRIGADOON[ブリガドーン] まりんとメラン(TVアニメ動画)

2000年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (161)
816人が棚に入れました
時は1970年。大阪万博の開催まで一年をきったある日、東京下町の長屋に住む平凡な少女浅葱まりんは突如空に現われた異世界「ブリガドーン」からやってきた謎の生体兵器(モノマキア)に襲われる。その時、根津神社に御神体として祭られていたアンプルの中から別のモノマキアが現れ、まりんを救う。彼の名はメラン・ブルー。まりんを守るのが任務だという。二つの世界の運命をかけた戦いが始まる。
ネタバレ

ワタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

もっと認知されるべき

東京下町の長屋に住む13歳の少女まりんと
まりんを守る任務を負った謎の生体兵器(モノアキア)メランとの交流がメインのお話。


タイトルからほのぼのとした内容がイメージされるけど、実際は非常に重苦しい鬱展開が多い。
主人公まりんが肉体的にも精神的にも追い詰められる展開が続きます。
13歳の少女に対する仕打ちとしては、ちょっと脚本家の悪意を感じるレベルですが
ちゃんと救いは与えられてるし、どん底から這い上がる展開にカタルシスも感じられます。

{netabare}ただ、終盤のまりん失明→チートアイテムによりあっさり回復、更には新能力まで身につける・・
という展開に関しては、ご都合主義にも程があって正直擁護不能w{/netabare}

アクションシーンも満載で、やたらと流血表現が多いです。(グロって程じゃないけど)

また、伏線が多く張られていて、ラスト数話でドドーッと一気に回収する感じ。
肝心な部分はボカされていて、色々と想像の余地が膨らみます。考察好きにはたまらないかも。


主人公まりんはちょっとテンションがおかしな娘(笑)なので
最初は受け入れ難いものがあるかもしれません。
基本は明るく前向きな性格で、最終的には物語の主役に相応しいと思えるようになります。

そんなまりんの強さの源になってるのが、まりんの周辺の人物達。
長屋に住む人達は、血の繋がり、国籍、そして種族の垣根すら超えた深い絆で結ばれていて
まりんにとっての支えであり、家族であり、帰るべき場所です。
1969年という時代設定が良いんですよね。
地域間の繋がりが希薄になりつつある現代ではどうしても嘘臭さが出てしまうでしょうから。


最初に述べた通り、メインはまりんとメランの心の交流。互いの心を通わせていく過程です。
その点に関しては見事としか言い様がなく、ラストシーンの2人のやり取りは本当に感動的。

それにしても、本作はマイナーにも程がありますね。
放送年が2000年で古めってのもありますが、当時WOWOWで一度放送されたきりで
地上波での放送が一度もないというのが一番の理由だと思います。
もっと評価されるべき、というよりも、まずもっと認知されるべきです。本当に。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 28
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

夢の中の熱き純情。9話から観ちゃイカン。

原作監督・米たにヨシトモ、構成脚本・倉田英之

オープニングのフォルクローレな民族調歌声、すごく物語にあっていて伝承性が増して気持ちが惹きつけられますね。何度も飽きずに聴けてしまった。

ある日空からの謎の落下物とともに、頭上にはブリガドーンなる空中都市が浮かぶようになっていた。地上の下町に住むまりんは、神社の祠でロボットのような生き物を目覚めさせる。「生体兵器メランブルー」と名乗る彼が付き従うようになり、まりんは二つの世界のひずみに巻き込まれてゆく…。

ぐりんぐりんの目玉、13才には見えない眼鏡っ娘まりんのあんまりありがたくないパンチラネタ、設定の1960年代風味な駄洒落、アハーン?って口癖に閉口しつつも、何だか気になる勢いで始まりました。
メランブルーは全身タイツ姿の肢体の端々にメカがくっついたようなデザインで、ハイヒールのような脚の耽美さに反してストイックな堅い奴です。(´・_・`)お腹と尻は出しといていいのか。

まりんを囲む長屋の憎めない面々のキャラクターも、芸が細かく和ませられます。その手厚さに、てっきりまりんはこの世界における愛されキャラなのかと思いきや、次第に「みなしご+謎の武器用心棒持ちの貧乏少女」として学校で迫害を受け始める。
しかし登校拒否になったまりんに、まっすぐな優しい言葉を向ける長屋の婆さんのセリフ、ちょい百合入ってそうだったモエちゃんとの熱い友情、かっこいい先輩のセリフ…4話にて、これは善いアニメだ!!と断定しました。なんていうか…それぞれのキャラクター、脇役に底力を感じます。


しかし、9話のヤーラシサってばどう〜なんですか。
この回から見たら絶対、違う目的のアニメだと思われるでしょう…~_~;
{netabare}
( 銭湯でまっ裸 + 泡と縛りの攻撃 + 味方メカ「ポイクン」の運転方法…。
乗り物になる亀型生体兵器ポイ君、内部に生えてる
弾力のありそうな有機的突起ブツをギュッて握って運転するんすよ。子供が考えそうなデザインでしょ?って見た目で、ああいうことする…。意味わかる方がやらしいとでも言いたいんかーオイッ!){/netabare}


そして10話以降の不幸の連鎖には、すべての中心点にまりんがいるのは物語だから仕方ないのか?、虚構が時に冗談のように束になって襲ってくる、ユメウツツ。

それでも先が気になるのは、主人公たちの主張や心情が吐露される時の、本気の純情さにグッとさせられるからです。ここは冗談にしないで頂きたい、と見守るしかない。もっとも、一話ごとに展開が早いのでひとつの苦しみが解決されるのも手早く、次への引きも上手いのですが。宵越しの銭はもたねェぜ( ´Д`)y━・~~的な感じで、話をまたぐ鬱はもたねェぜ(T ^ T)という甲斐性(解消)ありです。

{netabare} そして16話での、メランの理性的な説得の中に想いが滲んでいる様子にはジワジワ泣かされましたよ…。またメラン、いい声なんす。定められたと思われた絆を一旦不確定なものとして揺さぶるところがシビアなドラマでした。

そんでもって17話以降のさらに怒涛の、世界の崩壊の連鎖と逆恨みにあてこすられるまりん。やりすぎなような、ここまでやらないとみなしご様式美として意味ないのか。
救っては落とし救っては落とし救っては落としの夜店の金魚状態。生き抜くのに必死な昭和の時代の苦労ドラマ成分を目一杯盛り込んであるのか?、避難した人達の生活や群像心理など、いやに生々しく執拗な描写もあるし。
けれど、まりんを助けた先輩はカッコ良く善い人だったし、逆恨みしたり差別した人の後の扱いもきちんと考えてあったと納得。あと、崩壊後の世界だからこそ自分のあり方に立ち返ったキャラもチラホラいて、悪くなるばかりじゃないな、とも。
先に書いたように、苦難にぶつかってもまりんは脱出する糸口に恵まれていたと思います。だからやっぱり夢のあるお話。{/netabare}

面白いのがトリックスターのように現れる、猫のようなブリガドーンの奴ら。全てを知って誘導しているかのようで、翻弄されつつ、どこか憎めない。こいつらのおかしみで、重い展開もどこか安心して観られました。


20話を越えると、まりんは顔身体つきは変わってないちんちくりんなのに、妙に女性っぽく見えるのが不思議です。苦労は女を磨くんでしょうか。
メランの同期で女性型のエリュンにも「あの女のために強くなったのか」って、あのオンナ呼ばわりされてましたが。全体的に飛ぶ戦闘の切れ味がよく、とくにエリュンとメランの戦闘シーンがカッコ良かったです。

最終話まで行って特別意外な結末でもなかったのですか、壮大のちに全てを大事にして終わった、熱く優しい話でした。
まりんとメランのラブストーリーがロマンチックに締められるなか、私が感動していたのは、登場人物たちのその後を描く中で、子供を失って逆恨みした人を最後まで忘れずに一瞬ですが描いていたところ…。(;_;)こういうところがとても響きます。



物語の舞台となっている1969年(昭和44年)はどんな年か
{netabare} テレビでは「サインはV」「8時だョ!全員集合」「ひみつのアッコちゃん」「サザエさん」放映開始、リストに「海底少年マリン」なんてタイトルもありましたがまりんとマリン?
漫画はドラえもん連載開始。
学生運動で安田講堂でブイブイ、アポロ11号で初月面着陸、高度経済成長の盛りで地方の過疎化と公害問題がいろいろ。そろそろカラーテレビが一般に出回る時代、作中に出てきたテレビはまだ白黒でしたね。
原作者の方は、人情味溢れるまりんたちの暮らしの時代から先を分岐点と表現したのでしょうか。 {/netabare}


この作品を知り観てみたいと思っていたきっかけは、 {netabare} ちょっと古いアニメ好きな人なら結構名作扱いしていることと、以前「ノエイン」感想サイトさんで地味に推されていたからなのです。

そう言われれば、異世界から来た訓練された大人型の守護者と、世界の鍵を握る子供の組み合わせってところ、共通ですね。守護者が感情表現が下手なところも。エリュンとコサギ姐さん似てるし。あと真面目な顔で全身タイツなところも。


端々のデザインの冗談みたいなぬくぬくした垢抜けない感じや、まりんの目玉のデカさのおかげで、オススメされていなかったら観なかったと思います。観て良かったよ、もちろん。観返すと思います。 {/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 25

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

愛と絆のハートフル(?)SFラブロマンス

主人公「まりん」は空に現れた異世界「ブリガドーン」からやってきた謎の物体に次々と襲われる。
神社に祭られていたアンプルから出現した生体兵器「メラン」が「まりん」を守り続ける・・・
というサンライズらしい激しいバトルも多い作品ですが、
基本的には少女と生体兵器という種を越えた愛と絆を描いた物語です。
1969年の東京を舞台にしているので、昭和ネタが満載。

子供向けらしくほのぼのかつフリーダムな展開に思えるのですが
主人公のまりんをいじめ抜いているのが特徴的で、鬱成分がちょっと強めなので要注意。
理不尽にしか思えない雑な鬱展開には、あまり良い印象はないですが
まりんがかなりハイテンションで前向きな女の子なので、そこまでは気にならないでしょうか・・・
まりんとメランやその家族の絆が、際だって魅力的に見えるという意味では良いのかなと。

波乱ばかりのストーリーですが、伏線が張り巡らされていて終盤まで明らかになりません。
とくにワケの分からない前半はほぼ全部伏線で、後半から尻上がりで面白くなる類のアニメ。
唐突すぎる超展開が多く、終盤で一気に伏線を回収する点も良いか悪いか微妙なところですが、
まりんとメランの絆の深さで全てが素晴らしく思えます。

主人公のまりんは「あっはーん」とか変な妄想を度々するので、あまり好きじゃなかったのですが(笑)
そんな彼女をボロボロになりながらも、必死で守り続けようとするメランは本当に良いキャラでした。
メランがまりんを通して徐々に人間の心を理解していき、終盤ではもう人間より人間らしくなる。
一番の見所はやはり最終回にある屈指の感動の名シーン。
それを見るためだけでも見る価値はあると思いますw

投稿 : 2024/11/09
♥ : 22
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